CAA Reports001 2018-8-5

チャイルドアーツの理念

七沢清子校長

七沢清子校長の講話


体系的に理解していただこうと思っていまして、

お話の時間はだいたい1時間半とっていますが、

講師数名で次々に話をさせていただきます。


では、早速始めさせていただきたいと思います。

どうぞよろしくお願い致します。


今日は、今少しお話しました「概念」「考え方」というところの面で、

Child Artsについてご説明したいと思っています。


先ずは、七沢研究所というのは、多岐にわたって様々なプロジェクトを展開しております。

その中でも、中核を担っているのが、「概念を構築する」という作業です。


ロゴソロジーなどを受講されたことのある方にとっては、

よく耳にしている言葉だと思いますが、

「概念装置」という言葉があります。


それは何かというと、そのまま「概念」を

「装置化」するということで、

その「概念装置」という言葉というのは、

“自分の頭の中ではぼんやりと分かっているのに、

上手く言葉に出来ないこと”

というのがあると思いますが、


「なんとなく分かるな、こういう事だろうな」ということ、

という様な思考を、しっかりと見える化する、ということです。

そういったことを論理的に構築していくと、どういう事が起きてくるかと言うと、

言葉に出来ない思考というのは、どうしても、

その時の自分の「環境」だったり「感情」というものに左右されるので、

ブレるのです。


ですので、後戻りしてしまったり、

せっかく自分の中でここまで作り上げてきたようなものが、

何となくブレてしまって、また後戻りして、また同じところを繰り返す、

という様なことがあるのですが、


それを一旦、言葉にして「概念化」することで、

その後戻りすることを防ぐことができるのです。


そういった整理されたものというのは、

本当に揺るがないものとして、そこに存在し続けることができるのです。


このChild Arts Academyというのも例外ではなくて、

「幼児教育とは」という概念部分のところ、

「どういったものを根底に、この会が開かれているのか」というところを

皆さんで共有することで、


「幼児教育とは」という概念的なところを、よりブレないものにして、

今後、お子さんと一緒に何か接していく時、お子さんを育てていく時に、

ぜひ役立てていただきたいなと思っています。



今日は、何人かの講師が皆さんにお話申し上げますが、

色々な切り口からの話があるので、

その中で1つ、2つ、「ああ、そういうことか!」と

腑に落ちるような、心に響くような言葉が、皆さんの中に残ったらいいな

と思いながら、話していきます。



では、先ほどお配りした「Child Arts Academyの目標」という紙なのですが、

皆さんとシェアしていきたいので、

その真ん中の「Child Arts (Academy)は」という所だけ、読ませていただきます。

『Child Arts (Academy)は、人類進化の過程から見て、根源的なものに触れることで、豊かな感性を磨き、しっかりとした、観念ではない』、


この「観念ではない」というところが大切ですね、


『観念ではない倫理観と、世界観を育てて、他者、色んな周りの人たちと、そして社会、大きな世界といったところのコミュニケーションの土台を形成して、自分のしっかりとした意志を持って、未来を拓く創造性、自分のクリエイティブさを発揮できる未来の子供達を育てることを目的としてChild Arts (Academy)は開いております』


これは、今日皆さんにしっかりとこのお話をしていく上で、共有していきたいところなので、

先に読ませていただきました。


先日このようなエピソードがあって、私の子供が絵を描いたんです。

その絵を見たスタッフの方が、

「すごくよく見て、とても伸び伸びした、子供らしい絵を描くね。」と

褒めてくださったのです。


私はその時に、何とお答えしたかと言うと、

「いえ、でもうちの子は、人の顔を描いたりするのがあまり得意ではなくて、上手く描けないんですよ。

でも、今日は、自分の大好きな昆虫の絵なので、上手く描けたのかも知れないですね。」

とお答えしたのですね。


でも、その時ふと、ハッと思ったのです。

「私、何てことを言ったんだろう」と。


上手く描かなければいけない、と、自分の中でどこか思っていた。


絵というものは上手く描いて、

人に評価されて初めて、上手いものなんだ、素晴らしいものなんだ、

ということを暗に自分が言っていたな、と思って。


子供の頃に、何の観念にも捉われずに、伸び伸びと

「うわぁ、絵を描くのって、すごく楽しい!」と思いながら描いた絵というのは

それこそ素晴らしい“宝物”だったはずなのに、

私はその時に、「上手い」と人から評価されることを望んでいたのだな、ということを感じて、

ふと“気付き”となりました。


「純粋に楽しむ」ということを、大人になって忘れてしまっていたのだな

ということに気付きました。


つまり、「楽しむ」ということは、本能的に、

根源的なところにすごく働きかけることなのですね。


人は、心から純粋に「楽しい」と思えるのは、

“根源的に命が輝く”というところに感情が湧いてくるのです。

私は今、動物行動学の、教育には色々なアプローチがあると思うのですが、

その中でも、ヒト(人)がどうして、ホモ・サピエンスからずっときて現代のヒトになったのか

という進化の過程というのは、間違いなく人間にとって、

これから更に進化していくヒントが、そこに隠されていると思うのですね。


1冊、皆さんにご紹介したいのは、

小林朋道さんといって、動物行動学を研究されている方の

『進化教育学入門』という本です。


この方も、人間を動物行動学というところの視点で、色々なことを言って下さっているのですが、

(本の)中に、こういう言葉があります。


『人間の、進化学的に、自分の生存や繁殖的に有利に作用する活動に、人が喜びを感じるようにプログラムされている』


つまり、「命」というもの、私たち、人間も動物も含む「生きもの」

としてプログラムされている一番のベースというのは、


「根源的なものへの働きかけというものは、より脳内において深く吸収しやすい」

「命へ働きかけているものというのは、しっかり深く入る」

ということなのですね。



つまり、その「命」というのは、

私たちは命が無ければ、存在することが出来ませんので、

とても“根源的なもの”である、ということが一つ言えると思います。


その、「根源的なもの」、つまり「人を成り立たせているもの」は、

まずひとつは「命」。


それは、生きとし生けるもの全てに共通する、

生命・種の保存、子孫を残していきたい

という、生きているもの全てが思っていること。


私たちは、命を育む為に、

この地球上の、太陽からの恵みや恩恵を受けて存在しています。


「太陽」というものが無ければ、私たちは生きていくことが出来ないですし、

「自然」というものの中に私たちは居る、

ということが言えると思います。


それは結局、「命」ということは「自然」、

「根源的なもの」も一つ、「自然」というものがあって、


あとは、どうして私たち「ヒト」が人としてなり得るのかというのには、

「言葉」というものが大事になってきます。


人を人たらしめているものが、「言葉」なのです。


動物と人との一番大きな違いというのは、「言語を持っているかどうか」

というところになってきますが、


言語を持つことで、自分の頭の中でイメージしていたもの、

動物もといいますか、ホモ・サピエンス以前の旧人類などは、

言語を使うか使わないか、というところで、だんだん明らかに差が出てきたのですが、


その言語を使う、ということで、

自分の頭の中のイメージや虚構の世界を

しっかりと人に伝える、他者に伝えられる、ということで、

初めて「概念」というものを共有し合って、

集団として、より発展的な方向に進化する、

進化していく過程を経て、今の私たちの「言葉」というものがあり、

その「言葉というものを使った」

というのは、とても大きなことなのです。



ですので、私たちの「根源的なもの」を2つ挙げるとしたら、


一つは、命を育む「自然」

そしてもう一つは、人を人たらしめている「言葉」


だということを、しっかりと掴んでいただきたいと思います。



この「根源的なもの、ルーツというのは、どうして大事なのか」

ということをお話したいのですが、


先ほどお話したように、人は進化し続ける生き物ですので、

進化していく為には、物質や、物事の本質というものを深く深く知っていく

ということが、進化の一番の近道なのです。



「物事の本質」というのはどういう事か、

ということをどんどん突き詰めて行くと、そこには


「どうして私たちは存在するのか?」

「私は、どこから来たのだろう?」

「私は、何者なのだろう?」


という、“自分のルーツ”というところに辿り着くのです。


それと同時に、人は生きていく上で、

「大きな大きな安心感」、「揺るがない安心感」

というものを、必ず求めます。


それが、一般的には、


母親の愛情だったり、

お母さんがいつもそこに居てくれる、という存在だったり、

子供が無条件に自分のことを愛してくれているんだと思える、その愛情だったり、

そして、その先に続くご先祖様との繋がり、というのもしっかりと感じられる


というところで、心の余裕というものが初めて生まれます。



「心の余裕を持つ」、ということは、生命が、

「命が脅かされることがもう無い」という状態なので、


脅かされることがなくて、「自分がどうしたいか」と

初めて頭で考える余裕が出来た時に、「あ、そうか!」という風に

ここに書いた「倫理観」という次のステップに、人は進めるのです。


自分のことだけではなくて、人のこと、他者のことを思う余裕、

というものが生まれるのです。


そうすると、どうなるかと言うと、「意志力」と言って、

よりクリエイティブな、創造的な世界の思考に

シフトしていくことが出来るのです。


ですので、そういう根源的なところが満たされるというところが、

子供たち、人類にとって、とても大切なことだな、と思います。



ただ、今ここまで色々お話したのですが、

結局、親が子供に出来る事というのは、殆ど無いと思うのですね。


一番大事なのは、究極的なことを言えば、

「場作り」という事だけが

いちばん注意をして子供たちに注いであげなければいけないことなのでは

と思っていまして、


特に、第二祝殿と祝殿と、両方でお祓いをあげたことがある方

というのは、よく分かると思うのですが、


どちらでお祓いをあげるのが、「自分が より清まった」という体感があるのか

というのは、明らかに、こちらの“祝殿”なのですね。


では、祝殿でお祓いをあげるのが、どうして良いかと言うと、


ここは本当に、「お祓い」、「祈り」をあげるために造られた場所なので、

会社のスタッフも、毎朝ここでお祓いをあげていたり、

門人さんが来れば、ここでお祓いをあげていたり、と


「お祓い」というものを、ここで皆であげて、

日本のため、世界のため、宇宙のため、公のため、

という気持ちで、皆さんここで大きな祈りをあげて下さっていますので、


やはり「場」というものが、全然違うのですね。


その「場」が整っている中で「お祓い」をあげるからこそ、

「自分の本来の意志」とか「自分がどうしたいか」ということが

とても掴みやすい、ということなのです。


ですから子供も、環境においても、「場」を整えるということは

とても大事なことになってきます。



もう一つ、今日は本を持ってくるのを忘れてしまったのですが、

久保田競さん、という脳科学者の方も、幼児教育のことで本を執筆されていて、


読ませていただくと


『幼児教育の目標とは

知能が人よりも優れているといった人間性のごく一面に過ぎない分野の発達を指すものではなく

問題解決のできるこどもを育てること

そして問題の解決には他者が含まれてくるため

他者を考え 他者を理解する コミュニケーションの基本である豊かな言語能力が必要となる』

とおっしゃっています。


つまり、このChild Arts Academyの、

お渡しした(レジュメにある)この図と一緒で、このことを指しています。

「情」のところで、感性、色んな心の豊かさを磨いて、

「知」のところで、他人のことを思う、人として生きるということはどういう事なのか、を考える

そして、その2つの先にある「意志」というものが、「意」のところで、初めて発動する。

・・という図ですね。


これを、脳科学者の久保田さんが仰っています。


他の考え方の所では、


『論理と直感が相混ざったところに、個性的である、創造的な人間の望ましい姿がある』


と言っているのですが、

それはどういうことかと言うと、


「左脳」と「右脳」とがあって、


左脳的なところ(論理)と、右脳的なところ(直感)の、ちょうど合わさった

真ん中の所に立ち現われるのが、「本来の人間の姿」、

つまり、そこが、神道で言う「神の働き」だったり、


人間本来の働きに、一番近づいてくる望ましい姿というのは、

白川神道では「遠津御祖神」と言ったりしますが、


その右脳と左脳が、しっかりと真ん中で統合されている、ということが

とても大事なのです。


それを、久保田さんは、脳科学の面で「論理」と「直感」の…

というお話で説明されています。


つまり、「ご先祖様の働き」、というのがとても大事で、

その先にある「先祖供養」というのは、

やはりベースとなるというか、一番大事なことなのだと思います。


もうすぐお盆に入るので、ぜひお墓参りに行っていただいて、

ご家族が、ご先祖様に手を合わせて、

自分の命を繋いでくれることへの感謝とか、

自分が子供を残して、命を繋げることをさせてくれている

その「繋がり」というものに感謝の気持ちを持って、

この夏を過ごしていただきたいな、と思っています。


最後にまとめますと、

・お子さんの「場作り」ということ

・Child Arts Academyの目的

をお話した、というところで一つ、皆さんが帰っていただけたらな、と思っています。


ありがとうございました。


この後は、私がお話したことを、七沢智樹講師が、もう少し論理的なところからお話してくれると思います。